大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)1094号 判決

被控訴人の民法第七一五条に基づく本訴請求について、原審における証人小俣光明の証言竝に原審における控訴人高橋信夫本人尋問の結果に本件口頭弁論の全趣旨を綜合すれば、控訴人高橋は昭和三十六年二月五日より訴外本荘商店に自動車運転手として傭われていたものであるが、同商店は控訴会社と同様米穀雑穀及飼料の加工販売を業とし控訴会社の代表取締役である訴外本荘修の経営する個人商店であつたがその後間もなく株式会社に組織を改め、次いで控訴会社と合併したこと(控訴会社が合併して商号を武蔵倉庫株式会社を株式会社本荘と改めたことは当事者間に争がない。)、控訴会社は本件事故当時車庫を有しなかつたため本件加害自動車を右本荘商店に保管を託していたが、他方同商店としても控訴会社と前記の如き密切な関係にあつたので自己の業務のため右自動車を屡々使用していたこと、尤も右使用に際しては自動車の管理保管の権限を委せられていた控訴会社の取締役たる訴外小俣光明(本荘商店の使用人でもあつた)の許諾を得ることになつていたこと、控訴人高橋も本件事故当日右小俣に対し前示のとおり友人の結婚祝の贈物を届けるために使用するものであることを告げて運転の許可を受けたものであることが認められ、以上の認定事実を左右するに足る証拠はない。

以上の事実からこれを考察するに、本件事故は控訴会社が自己の業務上使用する自動車を控訴人高橋に貸与して運転せしめた際に惹起したものであつて、その事故を起した控訴人高橋は、控訴会社と権利義務の主体を異にする本荘商店の雇用人であり控訴会社との間に雇傭契約はない(この点当事者間に争がない)とはいえ、当時同商店が控訴会社の事実上同一の支配関係にあつたものと謂うことができるところから、控訴会社の事実上指揮監督の下にあるもの、換言すれば控訴会社の被用者としての地位にあつたものとなすことができる。従つて控訴人高橋は控訴会社の被用者として本件自動車を運転したものでその運転行為はその主観的事情はともあれ行為の外形よりみるときは控訴会社の包括的な事業の執行とみるを妥当と考える。

これを要するに控訴人高橋の本件不法行為(同人が不法行為による責任を負うべきことは既に説示したところである)は控訴会社の事業の執行につきなされたものであるから控訴会社もまた民法第七一五条に基づき右不法行為によつて生じた被控訴会社の損害を賠償すべき責あるものと謂わねばならない

(毛利野 加藤 安国)

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